『Berryz工房祭り』 有明2日目レポ　Berryz工房 涙のアンコール後ラストMC 抄録

2日目の有明コロシアムは雨に包まれた。

昨日に続いて、有明コロシアムで2日目の『Berryz工房祭り』が開催された。初日同様、全ハロプログループが参加の3部制、休憩有りの4時間コンサートという豪華内容である。基本構成は変わらないが、要所要所を切り替えて、初日に来た人でも楽しめる、完成度の高いステージが展開された。また同時に、ハプニングも初日より多く発生したが、そのリカバリーの巧みさも、11年のキャリアで培ってきた安定感を感じさせた。

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基本構成は共通のため、2日目である今回のレポートでは、初日との相違点やMCについて詳しく掘り下げていく。

第一部：Berryz工房の登場はMADAYADE！

第一部は、各グループが最新曲を披露する時間帯だが、初日が両A面の1曲めなら、2日目に2曲めを披露するなど、曲目を変えてくるグループが多かった。
話題のリニューアルユニット、カントリー・ガールズは、2曲め『恋泥棒』を披露。あくまで80年代アイドルポップの直球ぶりぶり路線で、衣装は全員白とパステルピンクで統一された私服風衣装。山木梨沙はフリル多めのお嬢様風、島村嬉唄はワンピース、小関舞はサスペンダー付きのパンツスタイルなど、それぞれのキャラクターに合わせたスタイルが注目を集めた。

前日に『TIKI BUN』を披露したモーニング娘。’15は、2日目は最新の代表曲である『One・Two・Three』を持ってきた。シングル『TIKI BUN』は道重さゆみ卒業シングルでもあり、の同時収録曲は『シャバダバ ドゥ〜』『見返り美人』。どちらも道重が欠けては成立しないので（Berryz工房を「勿体ないよいい女」と見立てるのもありかもしれないが）、この選曲になったのだろうが、ここでもっとも強力な曲を持ってくるところに、今日のステージに対する本気度が伺える。

℃-uteは『The Middle Management～女性中間管理職～』を披露。タイトルから内容が推測できない曲だったが、BPMのかなり早い四つ打ちダンスナンバー。曲に合わせてオフィスカジュアル風の衣装に身を包んだ5人が、キレキレのダンスで会場を魅了した。

第二部：胸さわぎな第2部は、Berryzメンバーがこれまでに参加したユニットが再結成！？

第二部は、Berryz工房のメンバーがこれまで参加してきたシャッフルユニットの曲披露と、ハロプロの穂歌グループがBerryz工房の楽曲を歌う企画。シャッフルユニットの選定と順番は同様ながら、これも初日とはほぼ曲を入れ替えてきた。

まず最初は、Berryz工房と℃-uteが別々にリリースしたシングルを同時再生すると同じ曲になる、という超絶音楽トリックで話題を読んだ『超HAPPY SONG』。あくまでも幸せな曲調に、手をつなぎ、微笑み合うBerryz工房と℃-uteの姿に、すでに涙腺の緩む観客も多数。

モーニング娘。加入直後の田中れいなをリーダーとして結成した「あぁ！」は、前日と同様に『First Kiss』のカップリング曲『正夢』。表題曲を期待する声も多かったが、この内容と準備期間では間に合わなかったのかもしれない。

矢島舞美のちゃんとした「謝罪」

MCでは、嗣永桃子が当日の天気の責任を、ハローきっての「雨女」として知られる矢島舞美に押し付けようとすると、矢島は「Berryz工房って”晴れ女”なんじゃないの？」と応酬。須藤茉麻は「まあこの後晴れると思うけど…」と口ごもるが、嗣永は追求の手を緩めない。「なんか言うことあるんじゃないの？ちゃんと謝ったほうがいいんじゃない？」と、”例の”謝罪を要求。

許してニャン…と来るかとおもいきや、「ごめんなさいね♪」とカントリー・ガールズの『ごめんねポーズ』を披露する矢島。「そっちかーい」カントリー・ガールズ兼任でもあるため、あまり強く出られない嗣永だった。

続くBerryz工房を他グループが歌う時間帯では、全グループが曲目を入れ替えてきた。
カントリー・ガールズの『ハピネス～幸福歓迎!～』、こぶしファクトリー&ハロプロ研修生による『ピリリと行こう!』、アンジュルムによる『ギャグ100回分愛してください』など、Berryz工房が10代の頃にリリースした曲は、10代前半のメンバーを中心に構成される各グループにとても良くマッチングしていて、後に熊井友理奈が「沢山の良い曲に恵まれた」とMCで語る通り、蓄積された楽曲資産の大きさと、こうして歌い継ぐことのできるグループもたくさん存在することが証明された。

DAWA＆まろ

10代メンバーではないが、自他ともに認める「ベリヲタ」として知られるアンジュルムの福田花音が、普段のステージ3倍くらいのイキイキとした表情と切れのある動きで、『ギャグ100回分愛してください』をオリジナルに最大限忠実に再現していたことが話題を呼んだ。

また、歌詞中の「克服だわ（だわだわ！）」の部分で、和田彩花（公式ニックネーム：DAWA）に、「このケーキ屋さん（マロングラッセ・ラッセ！）」の部分で福田花音（自称ニックネーム：まろ）に歌割りが当てられ、ピンポイントで巨大モニターでアップになったのは、選曲の妙と裏方との連携、撮影班のテクニカルな匠の技を感じさせる一幕だった。

第三部：Berryz工房による弾丸ステージ。スッペシャルな選曲で愛とHAPPYをお届けします！本気ボンバー！

第三部の冒頭で、サプライズゲストとして、モーニング娘。OGの飯田圭織（1期）、吉澤ひとみ、石川梨華（4期）、そしてハロプロ各グループのリーダー、矢島舞美、譜久村聖、和田彩花、宮崎由加が現れ、Berryz工房へのメッセージを贈った。

モー娘。OG、矢島舞美からBerryz工房に贈る言葉

飯田圭織は、キッズオーディション合格当初から振り返り、「ハローを支えてくれたみんなには、感謝と尊敬の気持ちでいっぱいです。これからはこのかけがえのない経験を活かして素敵な人生を歩んでいってください」とエールを贈った。
石川梨華は、映画『仔犬ダンの物語』の収録当時の思い出を振り返り、嗣永桃子が父母同伴で撮影現場に現れ、「ももちゃん、撮影が長くなると大変だからちょっと今お昼寝タイムです」と休憩時間を取っていたエピソードを披露。「そんな可愛いももちゃんが180度変わって…」「”小指”キャラも取られて」と愚痴を言うと、飯田も「一番の長身キャラも取られた」と熊井を見上げる。
吉澤ひとみは、「付き合いは長いけど特に言うことはない」「Berryz工房は最後まで誰一人『ガッタス』に参加しなかった」と恨み節(?)。「今まで色々我慢してきたと思うけど、これからは我が道を行って欲しい」とぶっちゃけトークを展開した。

続いて矢島舞美が、持参した手紙を読み上げようとするが、1行目から嗚咽で声が詰まってしまってなかなか読めない。会場から声援が飛ぶ中、「℃-uteにとってBerryz工房は、キラキラしていて常に前を走っている存在でした。悔しさだったり、頑張る心を教えてくれたのもBerryz工房だったし、Berryz工房がいなかったら、今の℃-uteはなかったと思う」とベリキューの関係性に思いを馳せ、「これからはハロー！プロジェクトみんなでBerryz工房の思いを引き継いでいく」と決意を語った。最後まで泣きじゃくる矢島に、嗣永が「泣くなよぉ～！」と笑顔でツッコミ。すると同じく涙を湛えた清水佐紀が走り寄り、両リーダー＆キャプテンが抱擁しあう姿には会場から大きな拍手が送られた。

機材トラブルもなんのその

その後、曲間にトラブルが発生した。センターステージに並んでMCをする場面で、熊井友理奈の元に袖からスタッフが駆けつけ、何やらやりとりをしている。熊井のジェスチャーから察するに、どうやらイヤーモニターの調子が悪くて、聞こえないようだ。スタッフは熊井のスカートの下から手を突っ込み、おしりのあたりにあるレシーバーをしばらくいじっていたが、どうも機器ごと取替えないといけないと判断したらしく、熊井とともに走ってはけていく。

それを横目で見ていたメンバーらは、嗣永を中心に機転を聞かせてMCを引き伸ばす。嗣永はカントリー・ガールズの『幸福歓迎』で、客席から「小関に～出会えた～」と歓声が上がっていたことに触れ、（※注・原曲では「あなたに出会えた」の歌詞を歌う須藤に対して、「まあさに出会えた」のコールが入る）オリジナルをここで聞かせてあげようよ、と提案。はにかみながらもアカペラで「英会話自体は上手にならなかったけど」とメンバーらが歌うと、青いペンライト一色となった会場から「まあさに出会えた」の大合唱が響き渡った。
これでもまだ熊井が復帰しないことを確認すると、さらに『ギャグ100回分』の伝説的フレーズ「のにゅ？のにゅ？」も「聞きたいよねぇ？」と徳永千奈美を煽る嗣永。『Completion Best』に収録されているオーディオ・コメンタリーによると、最近は頼んでも照れてまじめにやってくれないらしいが、この場面ではさすがに徳永も腹を決め、照れながらも「ずっといたいのに～、のにゅ？のにゅ？」を披露。会場は大いに沸き立った。

頬に手を当てる「のにゅ？」ポーズが、実は最近10代に流行っている「歯が痛いポーズ」と同一であることに最近気づいた徳永。「時代先取りしてんじゃん」と嗣永が混ぜっ返した当たりで、熊井が復帰。それを横目で確認した嗣永は、「さあ、盛り上がったな、というところで！」と自然にMCを切り上げ、「ここからはミディアムテンポのナンバーを、3曲続けてお送りします。」と台本に軌道修正し、曲につなげたのだった。

おそらく、熊井を編集でカットしたり、音声だけでこれを聞いていたら、トラブルの発生に気づかなかったのではないか、というくらいに自然な、面白いMCタイムだった。熊井が抜けた瞬間に隙間を埋める6人の阿吽の呼吸、そしてアドリブトークで完璧に場を繋いでいく嗣永の、バラエティで活躍してきたトークの手腕が遺憾なく発揮された印象的な場面となった。

アンコール　ラストMC

須藤茉麻
あと3日しかBerryz工房でいられる時間はないんですけど、私は「時間」という言葉がすごく大好きで、あと3日間。メンバーのみんな、ファンの皆さんと一緒にいられる時間を一分一秒大事にして、笑顔あふれる3日間を過ごしたいと思います。

夏焼雅
先輩たちから手紙を読んでもらって、昔のことを思い出してたんだけど、何度も怒られたりしたけど、『沢山の人の前で大好きな歌を歌う』という小さな頃からの夢が叶って嬉しいです。Berryz工房のいいところは、こうやってライブをやって楽しんでいる姿が一番だなって思います。武道館来られる方も、今日が最後の方もいると思うんですが、自分で言うのもなんですけど、Berryz工房の素敵な姿を目に焼き付けて帰ってもらいたいなと思います。今日は楽しかったですか？（歓声）

徳永千奈美
Berryz工房はすごく当たり前の存在だったんですけど、活動停止を発表してからあっという間で。11年やってきたことがあと3日で終わりなのをまだ何か信じられない自分がいたりとか、未来に向かって明るくいるいたりとか、その時々によって違う自分がいて。（Berryz工房祭りが）始まる前は、『始まりがあれば終わりがある』と自分に言い聞かせながらやってたんですけど、ライブが始まってしまえば、皆さんも「活動停止、寂しいな」とか思う方も、誰一人そんな顔はしないで、笑顔で。今日は最高に楽しかったんじゃないかと思うんですけど、皆さん、楽しかったですか？（歓声）

嗣永桃子
今日から3月。3月はももちの大好きなものが2つ。お誕生日を迎えるんですね。1個は、3月3日、Berryz工房。もう1個は、3月6日、ももちの誕生日。家族から「誕生日何がほしい？」とか聞かれて、「日々疲れもあるしマッサージ機かな」とか「金券かな」とか色々考えたんですけど、やっぱり「Berryz工房としての時間」がもっと欲しいなってすごく思って。
1日が24時間じゃなくてもっとあったら、ここにいる皆さんもそうだし、会いに来れない方にも一人ずつ会って「ありがとう」を伝えたりとか、1曲歌ったりとか、色んな感謝の気持ちが伝えらるのにな、思うんですけど、そんな夢のようなプレゼントはなくて。でも今日、この素敵な空間が、ももちにとって最高のプレゼントになりました！

清水佐紀
最年長としてキャプテンを務めてきて、でも私は自分に自信がないので「みんなの足引っ張ってんじゃないかな」とか色々気にしながら11年間やってきたんですけど、ファンのかたが「この7人だから、Berryz工房だよね」って言ってくださって、その一言で「Berryz工房のメンバーで良かったな」って思うことが出来ました。11年間色んな事があったけど、そこにはいつもメンバーやファンの皆さんがいて、幸せ者だったなって思います。さっき歌った『友達は友達なんだ!』の歌詞みたいに、またこの仲間で会えたらいいなって思います。

菅谷梨沙子
今日は喉の調子が悪くて、普段の自分の100％が出せなくて、すごく悔しいです。（嗚咽）
でも、「（気分が）マイナスの状態だったら絶対歌えないな」と思ったし、皆さんにちゃんと自分の歌を届けたいという気持ちが凄く強かったので。私の歌がちゃんと届いてたらいいなって思います。3月3日までにちゃんと直してこようと思うので。「今日が最後だよ」っていう方にはすごく申し訳ないと思うけど…。でも最後までこの7人で頑張りたいと思うので、応援よろしくお願いします。

熊井友理奈
昨日「泣かない」って決めて3滴くらい、今日も泣かないつもりが20滴くらい何か垂れて来たんですけど。こんな楽しい空間を笑顔で終えなくてどうするんだ！って思ったんですけど、色々思い出が蘇ってきて、どの曲も「もうカラオケでしか歌えなくなっちゃうのかな」と思うと一瞬、一秒が惜しくて！Berryz工房は沢山の素敵な曲に恵まれて、色んなジャンルに挑戦して、皆さんに沢山の姿をお見せすることが出来て、本当に良かったな、と思います。
最後はみんな笑顔で終わりたいよね？笑顔がいいよね！？エンジョーイ！エンジョーイ！エンジョーイ！（エンジョイ三唱）

（文＝宮元 望太郎）