Berryz工房バスツアー『トラベリーズ.comファイナル』レポ3日目(終)「やさしいBerryz工房」

ハロー!プロジェクトでは、各グループのメンバーとファンが共に行楽地に旅行に行き、現地でイベントやミニライブを楽しむ“バスツアー”という恒例のファンクラブイベントがある。Be rryz工房の場合も『トラベリーズ.com』と題して定期的に開催していたが、3月の活動停止を前にしてバスツアーも今回でファイナルとなった。エンタメアライブでは、最後の開催となった『トラベリーズ.comファイナル in沖縄』のレポートを、ゲストライターkogonil氏の寄稿によりお届けする。今回は全3回中の3回目。
(宮元 望太郎)

それでは、2015年の2月21日~23日にわたって開催されたBerryz工房のFCバスツアー、トラベリーズ.com Final、その最終日の模様です。

初日の報告の最後にはBerryz工房の切なさをコメントし、二日目の最後にはその楽しさについてコメントしました。最終日の報告では、末尾に、Berryz工房のやさしさについてコメントしています。

天候すら操る人々

最終日について書くにあたって、お天気の話を。

初日は好天に恵まれ、暑いくらい。
二日目は、予報では90%以上で雨だったのに曇天で持ちこたえ、国際通りで観光する参加者も傘は必要ありませんでした。
そしてこの最終日、ライブ会場への移動中までは雨が降っていたのに、会場に到着するや雨はやみ、すべての日程を終えて空港で待機するころに雨が再度降り始めるというお天気。
何人かの参加者さんが言ってましたけど、もはや「晴れ女」レベルではなく、なんらかの神通力を持ってるんじゃないかとすら思えます。

アトラクションの1:車内DVD 7発目

ホテルをチェックアウトしてから、ラストのスッペシャルライブの会場へ移動します。
この移動中での車内DVD7発目は、スッペシャルライブの会場紹介です。

これまで同様、「大人たちがガチ打ち合わせです」とぶっちゃける千奈美ちゃんと、それを嬉しそうに見てる佐紀ちゃんです。会場正面の階段を斜めに横切りながら上ったりあちこち落ち着きなく動き回る千奈美ちゃんが面白いのですが、「なんでいつも斜めにのぼる?」とか「なんでそっちいった?」とか、千奈美ちゃんの動きをそのまま口にしてリアクションする佐紀ちゃんがまた微笑ましい映像でしたよ。

アトラクションの2:スッペシャルすぎるスッペシャルライブ

スッペシャルライブの会場は、なんだか仰々しい大がかりな会場でした(お知らせされたはずですが、特に記憶にないことについては申し訳ない)。昨年のトラベリーズ.com3においては、おそらく人生の残りの運をすべて使ったかと焦るほどの良席(マジ最前のどセンター)を引き当てたのですが、今回は地味な席だなと思っていたところ、会場の客席の配置が良くて、非常に見やすかったです。

ガチで勝負できる名曲だらけのセトリ

毎度、参加者の評価も高いBerryz工房バスツアーのスッペシャルライブ、一昨年のトラベリーズ.com2では、制服風の衣装でそろえ、学校関連縛りのセトリだったし、去年のドラベリーズ.com3では、ファンが随喜する「ツボを押さえた」おふざけ全開で、毎回趣向を凝らしたものになっています。

しかるに今回は、前半の「夏縛り」をのぞけば、なかなかのど直球のガチな編成です。
この、まっとうなライブ構成を見るに、やはり、なにか思うところはあるんだろうなと思います。
そのライブのセットリストは、次のとおり。

1.ピリリと行こう
2.恋はひっぱりだこ
3.マジ グッドチャンスサマー
4.夏わかめ
5.マジ夏すぎる
6.蝉
MC
7.コイセヨ (佐紀ちゃん、ももち、雅ちゃん、熊井ちゃん)
8.ハピネス〜幸福歓迎!〜 (千奈美ちゃん、茉麻、梨沙子さん)
9.夏 Remember you
10 恋の呪縛
11 本気ボンバー
12 かっちょ良い歌
13 永久の歌
14 アンコール 君の友達
MC
◆ サプライズ企画
15 アンコール 希望の夜

ど直球の編成と書きましたが、前半の夏縛りの編成は、それでも微妙に涙腺に響くものがありました。
「マジ グッドチャンスサマー」なんて、微笑ましい思春期のきゃっきゃうふふ未満を歌っているはずなのに、イントロだけで、心の何処かに響きますよね。

やはりBerryzには珠玉と呼ぶべき名曲が多すぎるようです。さらには、成長したメンバーたちが、今になって楽曲に追いついたというところもあるのか、フリ付けもそんなに変わらないハズなのに、すてきなお姉さんとなった現在のメンバーたちが見せてくれるステージは、ちょっとした動きのひとつひとつであってさえ、何というか、心に届く前に眼球から率先して喜んでいるかのような、名状し難い興奮を呼び起こします。…ほんとうに、すばらしい。

無生物さえも自らの流れに巻き込む嗣永プロ

「蝉」の後のMCでは、佐紀ちゃんと千奈美ちゃんが、昨日のラスト車内DVDドッキリで登場した電気がピリッとくるパーティーグッズを、他のメンバーにしかける一幕も。

怪しい雰囲気を察してか、率先して餌食になりに行く嗣永プロでしたが、何故か電気が流れず、パーティーグッズからもスルーされるという奇跡。自身の鉄板であるはずの技をメンバーにスカされまくること、そのスカされ自体を新たな技として血肉化し、一段高いステージへ到達しつつある嗣永プロですが、ここへきて、無生物からもスカされるという高度な技を見せてくれました(笑)。
結局、被害に遭ったのは雅ちゃんでした。

誰も耐えられない涙腺への攻撃

そしてラストへ向けての流れは卑怯ですらあります。
「かっちょ良い歌」から「永久の歌」という流れ、この流れに冷静でいられるベリヲタはいないでしょう。

この流れを、「昨日できなかったことを今日中にクリアして、明日にはまた新しい私になる」けれども「一緒にいた、この楽しい瞬間を忘れない」と読むのは、思い入れにすぎるのかも知れません。
けれども、そう読む必要すらない最高のチューンの連続ではあります。「かっちょ良い歌」も「永久の歌」も、旋律も歌詞も、すばらしすぎます。先に公開いただいている「永久の歌」のレビューにも書いたように、別れを惜しむファンへ向けて、メンバーが「大丈夫だよ。ありがとうね。私たちは幸せだよ」と言ってくれているようで。

さらに追い討ちをかけられるベリヲタたち(サプライズ企画)

アンコールの1曲目を終え、最後のMCも済ませ、さあラストの曲へ…というタイミングで、メンバーには秘密にされていたサプライズ企画が始まります。

旅行会社から届いたバスツアーのお知らせには、「サプライズなので、ご自身のSNSなどでは絶対に言及しないでください」とのご注意を添えて、メンバーひとりひとりへ贈るメッセージカードが同封されていました。
(※ ごく一部、某匿名掲示板でネタバレしかけた大馬鹿者がいたようです。一瞬で集中攻撃されて沈黙していましたが)

そのメンバーへのメッセージカードは初日のバス移動中に回収され、メンバーごとのアルバムへとまとめられ、参加者代表が直接メッセージを伝えながらメンバーに手渡しするという趣向です。

希望者から抽選で選ばれた7人の参加者がステージにあがり、それぞれの愛するメンバーへ向けてメッセージを読み上げ、全員分のカードがまとめられたアルバムを手渡していきます。
実は私も熊井ちゃんへメッセージを読み上げる係として手をあげたのですが、抽選に外れていました。しかし、落選を残念がる必要はまったくありません。というのも、実際に熊井ちゃんへ向けて直にメッセージを読み上げた方が、熊井ちゃんの定番である「エンジョイ」について、それにテーマを絞った実に感動的で熊井ちゃんへの想いに溢れたメッセージを語ってくれましたから。それぞれのメンバーへ、それぞれメッセージを伝える代表の方は、どなたも、大事なことなので繰り返しますが、どなたも、実に想いの溢れたすばらしいメッセージを語っていました。
そして素人なのに、どの代表の方も、しっかりと自分のメッセージを読み上げており、しかも、どのメッセージも、きちんと簡潔にまとまった、すばらしいものでした。

このスッペシャルライブそのものが、バスツアーのラストであること。バスツアーのあらゆる出来事のひとつひとつが終わりを示唆していること。まもなくお別れであること(バスツアーとしてもBerryz工房としても)。
それだけで、なにかと感極まりがちな状況ではありますが、参加者代表の方々が読み上げるメッセージも、そんなメッセージを携えるファンの気持ちも、そんなメッセージを受け取って涙を見せるメンバーも、すべてが渾然一体となって、ちょっと信じられないくらい情動的な場面が展開されたのでした。
今でも夢だったんじゃないかと思います。

アトラクションの3:(たぶん最後の)握手会

ライブ終了は握手会。
参加者はライブ会場に留まり、バスの号車ごとに握手会場に呼び込まれていきます。
おそらく、これがBerryz工房としては最後となる握手会です。
呼び込みを待つ間も、みなさん、いろいろ反芻しているかのように座席で沈思黙考する方あり、顔見知り同士語り合う方ありと、さまざまでしたが、一様にどこか遠い目をしていたように思います。ちょっと盛りましたけど。

梨沙子さん

梨沙子さんには「梨沙子さんの歌が好きでした」と言いました。
梨沙子さんは、自分でも「私は自分の気持ちに正直すぎて、誤解されることも多い」と述べているように、握手してくれても「あれ?怒らせちゃったかな?」と思ったこともあるのは事実です。
でも、「梨沙子さんの歌が好きでした」と言ったら、梨沙子さんがきちんとお辞儀をして「ありがとう」って応えてくれました。梨沙子さんがお辞儀をしてくれました。
お人形さんのような梨沙子さんですが、目の前でお辞儀する梨沙子さんは、本当に小さかったです。

熊井ちゃん

熊井ちゃんの前では、事前に考えていたことが全部トんでしまって、言葉につまった挙句、「熊井ちゃん、大好きでした」と(言いながら泣いてたかも)。
言葉につまっていた間も、こちらの言葉をまっすぐに待っていてくれた熊井ちゃんは、「これからも応援してね」って応えてくれました。
「そ、そんな機会はあるの!??」と応じたところで剥がされましたが、流されながら熊井ちゃんに気持ちを残していたら、熊井ちゃんもこっちを向いて(次の握手の人、ごめんなさい)「わかんないけどね(笑)」って笑っていました。
いつもは握手をしても、夢の中の出来事のようで、漠然とした印象しか記憶できないのですが、このときの熊井ちゃんの笑顔は鮮明に脳裏に焼き付いています(自慢)。

この発言を受けて、同じく熊井ちゃん推しの参加者さんと慎重に検討した結果、やっぱり何もわからないよね、という結論に。その挙句に、こんなお知らせが。
わからない。わからないよ、熊井ちゃん。
わからないけれど、何かあったら駆けつけるべく、待っていることにしましたよ。

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雅ちゃん

雅ちゃんには「握手してくれて、ありがとう。12年間、ありがとう」と言いました。
いつもは気品があるくらい気高い雅ちゃんが、今日はやけに小さく「こちらこそ」って微笑んでくれました。

ちょっとぶっちゃけます。
私は、すでに明らかにしているとおり、熊井ちゃん推しです。
だから、個別握手会では、雅ちゃんのブースに入ることはありませんでした。このため、リリイベなどの握手会で雅ちゃんと握手する際には、雅ちゃんからは、いわば ”その他のファン” 的な扱いで、定型的な「ありがとう」を賜るのみでした。
でも、このときの雅ちゃんは、まっすぐに私を見てくれて、「こちらこそ」って小さく微笑んでくれました。

茉麻

茉麻に、「お芝居、観に行くね」って言ったら、痛いくらい握手に力を込めてくれて、吸い込まれるくらいの目力で、目を見てくれました。

いつもなら、メンバーに伝えたいことが上手に言葉にならず、握手の場面で口ごもってしまうのはファンの側です。ですが、このとき、茉麻に「お芝居、観に行くね」って言ったら、力強く握手してくれながら、茉麻の側が何かを言おうとして、でも言葉にならないような表情を浮かべていました。
このラストの握手会、なにかと気持ちが先走ってしまうのは、どうやらファンだけではない様子です。

千奈美ちゃん

千奈美ちゃんに、「12年、ありがとう」と言ったら、千奈美ちゃんが、微笑んでくれました。
まったくの私の主観で申し訳ないのですが、このときの千奈美ちゃんの微笑みは、とてもやさしかったように思います。

他のメンバーのファンだったり、あまり足繁く通っていない奴だったりの言うことは基本信用しない千奈美ちゃんです。どんなに千奈美ちゃんを持ち上げるようなことを言っても、いつもなら千奈美ちゃんには「ほんとに?」みたいに弾かれてしまいます。本当に信頼を得られるまでは、ファンといえど、容易に内懐には入らせないガードが固い千奈美ちゃんです。
しかし、やさしく微笑んでくれました。

このときの千奈美ちゃんも、アイドルの徳永千奈美というよりは、年齢相応の女の子のようで、小さかった印象です。

ももち

ももちに、「カントリー、応援するね。ももちがいるからね」と言ったら、「ほんとに?」と応じられました。そこで早口で、「ももちには、これからもよろしくね、って言われたからね」と続けたら、ニコっと笑ってサムアップしてくれました。そこで、私もサムアップで応えたけれど、よく考えたら、これは握手を上手に躱されたのではないかと思います。
さすが嗣永プロ。

佐紀ちゃん

佐紀ちゃんに、「逢えなくなっても、これからもがんばってね」と言ったら、佐紀ちゃんのほうから「ありがとうね、ずっと」と言われました。

これまで個別握手会などで佐紀ちゃんに「ありがとう」に類することを伝えると、いつも泣き笑いのような表情をしていた佐紀ちゃんでした。でも、このときの佐紀ちゃんは、とても落ち着いていました。
佐紀ちゃんは落ち着いていましたよ。

アトラクションの4:なかったはずの、お見送り

バスツアーでは、全日程を終えると、帰路へ向うバスに向ってメンバーがお見送りしてくれるのが恒例です。

ですが、今回は握手会だけで終わるはずでした。
参加者があまりに多くて、お見送りできるように全部のバスがそろうまで(つまり握手会が完了するまで)待っていると、飛行機の時間などの関係で、運営上厳しいと言うことで、今回はお見送りはありませんと事前にアナウンスされていました。
握手したら、そのままバスに乗り込んで、空港に向うハズだったのです。

握手会呼び込み待ちのとき、しばらく呼び込みのないまま「間もなく再開します」とのアナウンスがあって、「そりゃそうだよね。こんだけの人数だもん。休憩もするよね」とか思っていました。

ところがそれは、順次先発していくバスを、都度、メンバーがお見送りしていたための中断だったのです。運営側が時間的に厳しいからお見送りをスケジュールから外していたところ、メンバーたっての希望ということで、無理から、握手を中断してまで、お見送りをしてくれていたのです。

厳しいスケジュールの中、これだけの人数の謎の大人たちに応答しながら、最後までメンバーは参加者をお見送りをしてくれていたのです。

アトラクションの5:最後の車内DVD 8発目

空港へ向う帰路の車内では最後の車内DVD 8発目です。
千奈美ちゃんと佐紀ちゃんが、鯛の着ぐるみでおふざけしています。
しかし、実に切ないイメージDVDとなっていました。
悲しくて泣いているのではなく、なんだかその光景が美しすぎて泣ける、そんな千奈美ちゃんと佐紀ちゃんの鯛の着ぐるみでしたよ。

*****

バスツアーの時系列の報告にからめて、Berryz工房の楽しさ、切なさについてコメントしてきました。
最後にあたって、Berryz工房のやさしさについてコメントしたいと思います。

やさしい、やさしいBerryz工房

すでにレポ本分中にも適宜散らしたように、メンバーたちは、私たちファンの想いに、精一杯、応えようとしてくれました。

バスツアー自体、抽選で選ばれるはずの参加者は、メンバーたっての希望で応募者全員参加で行われました(わがままを聴いてくれたスタッフに感謝しているとメンバーは言っています)。大量の参加者を円滑にさばくため変則的な運営となった影で、いったいどうやって移動していたのかもわからないくらいの進行で、メンバーたちはイベントをこなしてくれました。移動や待機などもあるだろうに、時間ぎりぎりまで、メンバーは手を振ってくれました。話しかけたときには、ちゃんと応じてくれました。勝手なことを言い出す参加者の要望に、できるだけ応じてくれました。
代表が読み上げるメッセージを涙を流しながら聴いてくれました。
そして、握手会では異例なほど(過去の握手会との私自身の記憶での比較による)、しっかりと、ひとりひとりの参加者に接してくれました。

メンバー自身が、最後の機会を細部まで味わおうとしているかのようでした。そのメンバーが味わおうとした最後の機会とは、これまで自分を応援し続けてくれたファンとの交歓の機会でした。
メンバーが、ファンとのイベントを楽しもうとしてくれていました。

こんなに、応援していて報われたと思えることもありません。

Berryz工房は、全力で、応援してくれるファンの想いに報いてくれました。
最後に大声で、こう叫びたいと思います。ベリヲタで良かった!!!

ご静聴ありがとうございました。

(文=kogonil)

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