モーニング娘。’14の個別握手会 初めての突撃体験レポート 「永遠の握手期の終わりに…」

モーニング娘。’14は、現在定期的に握手会イベントを開催している。これは販促イベントの一環として、CDを買うとランダムでメンバーと握手できる券が配布され、会場で握手ができるというものだ。
今回、エンタメアライブでは「取材」と称して、この個別握手会を体験してきた。この記事が、モーニング娘。の個別握手会への参加を検討している人にとって、少しでも参考になれば幸いである。

個別握手会の様子は、2年前に『Girls News』という番組で紹介されていた。今回、初めての個別握手会を体験するにあたって、この映像で予習をして臨んだ。
2012年12月、『ワクテカtake a chance』発売記念握手会。どうやらこのシステムはこの頃に始まったものらしい。

『GIRLS NEWS』2012年12月 モーニング娘。 個別握手会に密着

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12月22日。この日は東京でモーニング娘。の個別握手会が開催されました。まだ謎の多いこの握手会を、ファンの方に案内してもらうことにしました。

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マットさん。2004年に日本のお笑い番組に出ていたモーニング娘。のファンになり、昨年5月に来日。

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Matt「モーニング娘。の個別握手会は普段のグループ全員でする握手会と違って、一人ひとりのメンバーが個別ブースにいて握手しに行くシステムとなっています。好きなメンバーとゆっくり話せるのが特徴ですね。」
Matt「それでは早速僕の好きな石田さんの列にいきましょう。

列に並んでる時が一番緊張します。なかには握手の時に話すことを携帯にメモして直前までシミレーションしている人もいます。
ただ、可愛いメンバーを前にすると忘れてしまうんですよね。

後はやはり一人一人握手の雰囲気も違うので、事前にファン同士で情報交換して傾向と対策を考えていくとより楽しめますよ。」

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Matt「Hey Ayumi!エット、次にソロを歌うとシたら何が歌いたいデスか?」
石田「えっとねー、松浦さんの、『100回のキス』」
Matt「Ohいいねぇ、エット、他のグループの曲に挑戦して欲しいでス。」
石田「はい、頑張ります」
Matt「じゃあ、頑張ってくだサい。See you again!」

(※注 テレビの演出上、結構長く話しているが、実際は1枚ではこの1/3くらいの時間しかない)

Matt「個別握手会の様子、なんとなくわかりましたか?ハロプロはステージでのパフォーマンスが魅力ですが、こうやって一人ひとりの個性が見られたりするのも楽しいですよね。
ハロプロでは他のグループも握手会をやっているので、これからも楽しんでいきたいと思います。」

この「個別握手会」について、メンバーは当時番組内で次のように語っている。

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道重さゆみ

頑張って考えてきてくれたんだろうなって面白いことを言おうととしたり準備したことを話してくれると、さゆみのことを考えてくれているんだ、と嬉しくなります。緊張して話せない人を見ても、なんか可愛いなと思って。みんなそれぞれで、人って面白いなあ、と思います。

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生田衣梨奈

今だとコンサートをやっているので、感想を生で伝えてくれる。ステージでよかったところを言ってもらえると自分の成長を見てもらえているな、コミュニケーションしてるなって思います。

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工藤遥

握手会は好きです。普段はファンとアイドルって距離があるけど、握手会は普通にお話しをして距離が縮められる。積極的にどんどんコミニュケーションをとっていけたらなって。

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田中れいな

一対一で会話できることってそうそうないじゃないですか。友達みたいに会話ができるのが、れいなのキャラだと思うので、そういうふうにみんなと喋れるようにしたい。

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飯窪春菜

ファンの方も私のこと調べて下さっていて、好きな漫画の話とかしてくれるのが嬉しいです。
テレビや雑誌で見ている印象と、実際に会った印象は違って、それでもっと好きになってもらえることもあると思うので、ぜひいちど握手会に来て欲しいです。
モーニング娘。 Morning Musume。個別握手会に密着 GIRLS NEWS~Hello! Project~ – Dailymotion動画

エンタメアライブの握手会体験レポート

古いタイプの楽曲派のファンを自認するものの常として、「握手会」というイベントについてはこれまでどちらかというと懐疑的な目を向けてきた本サイト編集長だが、「知らずに批判することはできない」ということで、おっかなびっくり初めての握手会に行ってきた。

握手券の入手

まずは、握手券を確保しなくてはならない。普通の店頭で売っているCDには券はついておらず、Fortune musicと いうサイトを通じて購入し、CDと同封の握手券が送られてくるという方式をとっている。メンバーはランダムで、誰と握手をするのか、購入時に選ぶことはできない。もちろん、トレードやオークションその他で融通される券も多いのだが、同数の券が出回ることによって、基本的には現場で露骨に「握手の列に差」が生じないようになっている。(この点で、先日放映された 『未来シアター』の「生田衣梨奈は不人気メンバーのため握手の列が閑古鳥」という台本は演出過多である)

会場は都内イベントスペース

今回の握手会が開催されていたのは、六本木にあるベルサール泉ガーデンというイベントスペース。広めのセミナーを行うような会場で、メンバーごとにパーティションで区切ったブースが設置されており、ファンがそこに列をなしていた。

握手会は1部から8部まで分かれていて、メンバーは朝から晩まで30分程度の休憩をはさみながらひたすら握手をし続ける。握手業務時間帯には座ることも出来ないし、めまぐるしく数秒単位で訪れる人と笑顔で会話をしなければならないので、これはかなりの重労働のはずだ。一般人である我々が想像するならば、居酒屋バイトで常に満席状態を少ない人数で回している時のような、自分の結婚式の出口で、参列者1人ずつと握手して見送っている時のような、それが一日中続くというわけだ。

会場では、最新シングルの『TIKI BUN』がうっすらとBGMとして流れている。

握手ブースは、期順に道重さゆみから規則的に並んでおり、筆者が並んだのは一番右にある小田さくらのブース。特にメンバーに対するこだわりはないので、ランダムで送付されてきた券をそのまま持ってきた。
握手の前には、係員からゴミ袋大の半透明のビニル袋が渡され、手荷物は全てそこに入れ、直前に預けるるようになっている。
20人位の行列になっているので、どのくらい待つのかと思ったが、並んでみると列の進むスピードは驚くほど早く、あっという間に順番が回ってきた。

モーニング娘。が目の前に立ってる!

金属探知機でざっと体をチェックされ、手のひらをチェックされ、「どうぞ」と通されると…。

そこに、モーニング娘。’14のメンバーがいた。

(テレビの中の人がそこに存在している!)
芸能人や有名人をはじめてみた時の印象は、大抵画面を通して見ていた特徴の5割増しくらいで感じられるという。大きい人はより大きく。小さい人はより小さく。美人はより美しく。
実際に目撃した小田さくらさんは、想像していた以上に小さく、可愛らしい雰囲気だった。ただし、もう夜の8部とあってさすがに表情はやや疲弊していたが、小田さんはニコリと微笑んで筆者の手を握ってくれた。

「い、いつも応援していマス、アー…頑張ってクダサイ!」

と極度の緊張からMatt以上にたどたどしい日本語でありきたりな激励をして、その代わりにありがたいお礼とスマイルを賜ってブースを後にした。時間にして6~7秒の出来事だった。

ハロプロ男子校(仮)の相沢直さんが、メンバーと初めて握手した感想を「可愛すぎてビックリした。発光していた。」と述懐していたが、確かに光っていた。あれを長時間浴びていたら、脳の回路が焼き切れるんじゃないかと思われるくらいだ。

相沢「完全に光ってた。発光してた。なんなんですかね…。アップフロントの人とか、マネージャーさんとか、毎日アレに接してるわけじゃないですか」
宮元「よく正気を保っていられるな、と?」
相沢「何人かおかしくなってるんじゃないかと思いますよ!」
マコ知「閉鎖病棟に送られたりとか(笑)」
相沢「赤羽橋にはLILIUMみたいなサナトリウムが(笑)」
宮元「可愛さに当てられたアップフロント社員が収容される(笑)」
ネットラジオ『ハロプロ男子校(仮)』第4回配信!▼福田花音さんが面白すぎる ▼マコ知の脳内シナリオ ほか | エンタメアライブ

しかし、人間とは慣れるものなんである。

どんなに強烈な体験も、それが何度も繰り返されれば常態化し、適応していく。それは薬に耐性がつくようなもので、この適応能力があるからこそ、人類は700万年をかけて進化し、地球の覇者となったわけだ。

握手会のリピーター達

今回のイベントで、握手会のヘビーリピーターである人の何人かに話を伺った。筆者は今回、なけなしの1枚を手に握手をしたわけだが、彼らはまるでマンガ『カイジ』の限定ジャンケンでパーを買い占めたカイジのように、握手券相場の値動きを見定めながら50枚、100枚と券を確保しているのだ。
実は、握手券は後半になると「まとめ出し」として複数枚を一挙に消化することができ、10枚あれば1分程度の握手ができる。30枚あれば3分。これはちょっとした会話ができる時間だ。
それが毎回続けばメンバー側もそのファンを覚える。いわゆる「認知」が発生する。

人間には強い自己承認欲求というものがあり、これは社会的動物である人間が人間として生きていく以上、誰の心にも拭い難く存在する。これが原動力となって、人は社会で仕事や学問の業績を顕すことができる。それがまさか、あの憧れのアイドルスターに自分の存在を認識される、となれば、これはかなり強烈な魅力だ。しかもそれが握手券大量購入の労力と財力だけで実現する。金と時間と社会的立場とが許すなら、筆者もそちらの道に進んでいた未来もあったかもしれない。一瞬考えた想像には、それくらい危険で甘美な魅力があった。

握手会の部ごとのインターバルでは、手元のスマートフォンでTwitterを操っている人が多い。「握手会レポ」を投稿しているのだ。メンバーの名前で検索すると、あっという間に沢山の「メンバーとの会話録」がリストアップされる。

SNSというのも、使い方によっては承認欲求を手軽に満たしてくれるツールだ。握手会でメンバーから認識され、それを「レポ」したものが沢山リツイートされ、さらには会話が成立する関係であることを他のファンから羨ましがられるという、自己承認欲求の三重奏。これは、一度握手会にハマった人が抜け出せなくなるわけだ。筆者も、そうやって握手に慣れた熟練者を心のどこかで「楽しそう、羨ましい」と思っていることに気づいた。

いや、まてよ。何かが違う。この人たちはただ慣れているのではない…。握手会の光を浴びすぎて、「認知」の快楽が全身にまわり、彼らは既に繭期ならぬ握手期を発症しているのではないか…?
永遠に終わらない握手会に通い続けるヲタ。個別握手会会場は、握手期をこじらせた重症患者が収容されるサナトリウムだったのだ…!
(※注 『LILIUM』のネタです)

個人的な感想

アイドルの「握手会」現場は、コンサート現場ともファンイベント現場ともまた違う、全く新しい楽しみ方ができる第三の現場だった。アイドルとファンとの時間がつかの間交錯し、ファンは大きな心の充足を、事務所とメンバー側はCDの売上を確保することができる、よく出来たイベントだ。

しかしそれは同時に、メンバーの精神と体力の消耗と、ダンスやボーカルレッスンの時間を犠牲にして得られる時間であることも覚えておきたい。ただし、現状の運用規模と方向性を維持していくなら、これは避けられない投資でもあるし、「CD手売りでメジャーデビュー」をしたモーニング娘。としては原点とも言える活動とも言える。冒頭で紹介したような、「ファンの生の声を聞ける」「交流してもっと好きになってもらいたい」というメンバーの言葉も、それはそれで嘘偽りのないものだと思う。すると問題は、やはりその頻度が高すぎることなのかと思う。しかし握手を「ドーピング」とはよく言ったもので、一度始めたらやめることはとても難しい。現在の音楽市場でCDを売るためには、特典売り、握手売りは避けては通れない構造的問題である。

しかし、1位記録はやがて途切れるし、永遠に続く握手会も、卒業しないアイドルもいないのだ。

個人的には、せめてメンバーの精神的負担を数秒でも減らせるよう、筆者が握手する際には「頑張ってください」「応援してます」「素敵なステージをありがとう」などの激励や感謝、つまりメンバーが脳神経をなるべく使わず「ありがとうございまーす」で返事できる範囲の言葉しかかけないようにしようと思っている。
(※注 握手会一般のマナーとして提唱しているのではなく、個人的なポリシーです)

まとめ

  • 握手してみると、メンバーの可愛さと輝きに驚く
  • 個別握手にハマると物凄く楽しそう
  • 握手券はランダムだけど相場で取引される
  • 握手券は複数枚のまとめ出しができる(ただし1枚あたりの時間は減る)
  • 握手が支えるビジネスモデルは強固で転換が難しい
  • メンバーには「ありがとうございますマシーン」でいさせてあげたい
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なんとなく分かりましたか?

(文=宮元 望太郎)


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“モーニング娘。’14の個別握手会 初めての突撃体験レポート 「永遠の握手期の終わりに…」” への5件のフィードバック

  1. avatar Horseplayer より:

    素晴らしい握手レポでした。
    私も今年一度だけ個別握手会に参加したのですが、感想が一緒でした。
    「これは確かに楽しいし、ハマッて大量購入してしまう気持ちは分かる。しかし、これは事務所、メンバーにとってだけでなく、客にとってもドーピングであり、気を付けなくてはならないな」と。
    私も会話については、「ツアーお疲れ様」「次のツアーも期待してます」「ニューヨーク頑張って」などこちらから語るものでメンバーに負担かけたくないな、と思ったものです。
    と言いながら、これも本人を目の前にして、頭が真っ白になりかけながら、懸命に搾り出したんですがw

    握手会に参加する方々を否定したり、この商法自体を駄目と切り捨てるつもりはありませんが、事務所的には売り上げを維持向上させ、参加される方が満足し、メンバーの負担を出来るだけ軽減し、パフォーマンスの向上の妨げにならないバランスを維持・模索して行ってほしいなあと思います。

    でも、目の前にするとめっちゃ可愛くて蕩けますねorz ヲタとしてのジレンマ

  2. avatar アライブ名無しさん より:

    メンバーの負担を考えてこそ本当のファンですね
    レポーター気取りの誰かさんと違って素晴らしい!

  3. avatar kogonil より:

    私も長年、握手会懐疑派だったんですけど、一回体験すると、だめですね(笑)。
    メンバーから発する光で、ほんとに脳のどこかが切れてるんじゃないかと思います。

    ライブ終わりの握手会など、ほんとに疲れているのに、にこやかに対応してくれて、心から感謝です。バスツアー(道重さんとBerryzで体験済)なんかだと、延々と参加者と対応していて、けっこうな時間を使ってるのに、最後まで笑顔を絶やさない。

    メンバーに負担をかける点で、申し訳ないと思いつつ、メンバーのすばらしさを感じられる貴重なイベントだと思います。ありがとう、ありがとう。

  4. avatar アライブ名無しさん より:

    アイドルは発光するとはよくいったもので、私もだーちゃんと道重さんが地元に来た時に会いに行ったのですが、あまりのキラキラっぷりに目が眩みました(笑)。だーちゃんとか加入直後に会ったら絶対普通の中学生にしかみえないと思うのでやっぱりアイドルやってると輝くんだなぁって思いました。

  5. avatar アライブ名無しさん より:

    サインやチェキを買い占めるヲタがいるから、
    ファンが増えない。

    遠征組も多いからファンが増えない。

    認知してほしいのはわかるが、

    ファン獲得への妨げにしかならない。

    また、転売できないシステムを構築しない限り

    発展は望めない

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