モーニング娘。’14道重さゆみ卒業コンサート速報レポート そして伝説へ…

26日、モーニング娘。’14のツアーファイナルとなる「モーニング娘。’14コンサートツアー秋 GIVE ME MORE LOVE ~道重さゆみ卒業記念スペシャル~」が横浜アリーナで開催され、リーダーの道重さゆみが同グループを卒業した。

オープニング~リーダー人事発表

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コンサートは、18時の開演時間と同時に、OP映像が流れるよりも先にスタートした。スモークと光線の中、道重さゆみが先頭となってメンバーが登場。新曲の『TIKI BUN』『わがまま気のまま愛のジョーク』『What is LOVE?』と立て続けにアップテンポのシングル曲3曲の披露で幕を開けた。

その後、今次ツアーのオープニングビデオが流れる。白いソファーの上で何かの本を開いて楽しそうに見ている道重さゆみ。そこに、譜久村聖、生田衣梨奈、鞘師里保、とメンバーが一人ずつやってきて、楽しげにソファーに共に座って道重を囲む。現在のモーニング娘。’14を象徴するかのような、幸せな空気の映像だ。音楽はそのままピアノのアルペジオから『時空を越え宇宙を超え』に繋がっていく。

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それから、黄金期とプラチナ期の狭間にリリースされた懐かしのナンバー『Do it! Now』を経て、最初のMCタイムが設けられた。このツアーでは、武道館でのお披露目以来、ここで12期メンバーの紹介と挨拶が行われている。本日は、それに続けて道重さゆみより、新リーダーの人事発表が行われた。

新リーダーは譜久村聖、さらにサブリーダーとして、飯窪春菜と生田衣梨奈の二人が任命された。
モーニング娘。新リーダーは譜久村聖、新サブは飯窪春菜、生田衣梨奈 | エンタメアライブ

アクシデント発生

今回のツアーでA、B、Cパターンと3種類にわけて披露されている曲をすべて詰め込んだ、13曲のノンストップメドレーが行われた。
ここで、道重さゆみの足に異変が起こった。道重を中心に映していた、ライブビューイング(以下LV)やスカパー!中継で見ていた人の方が先に気づいたかもしれない。ほんの一瞬だけ、道重さゆみが顔をしかめて、右足に手をやるシーンが映ったのだ。後から明らかになった情報によると、道重はここで足がつってしまっていたらしい。

ところが道重さゆみが流石だったのはここからで、足が痛みで動かせない状態にもかかわらず、完全な笑顔を保ったまま、堂々と歌い続けたのだ。本人がTV等でたびたび「歌がうまくない」ということを説明する際に「顔芸でごまかしている」と自虐的に語っていたが、まさにその「魅せる」表情で、アップが多いLVでは観客に容易に異変を感じ取らせなかった。ファンの中には、メドレーが終わるまで、道重の足に発生した異変に気付かなかったり、道重がステージに一人で残り、9人が展開していくのを演出だと思っていた者すらいたほどだ。

また、突然のアクシデントに見まわれながらも、うろたえたりすることなく、見事に道重をカバーしてステージにほとんど破綻を生じさせなかった他メンバーにも賞賛の声を送りたい。

特に、怒涛のメドレーの中盤、『ブレインストーミング』の後には、譜久村聖と道重さゆみのデュエットによる『好きだな君が』が入っていた。ここでセンターステージにいた譜久村は『ブレインストーミング』の終わりを待つことなく、メインステージに立っている道重のところまで駆け戻り、寄り添って歌い出した。その後も、とうとう痛みにうずくまって中断、暗転したステージ上で客席を煽って「さゆみコール」の音頭を取るなど、早くもリーダーとしての責任感と統率力の片鱗を見せていた。

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「歌もダンスも下手で」と自虐しつつも、本当は誰よりも完璧主義者の道重さゆみが、自身のキャリアの集大成となる卒業公演でこのような無様を晒してしまったことについて、本人としては非常に悔しいところではあるだろう。実際、悲しみや感動の涙ではなく、あきらかに悔し涙を流しているようなシーンも見受けられた。しかし、このアクシデントによって、道重さゆみ卒業コンサートは、さらにひとつ伝説的な性格が加味されたようにも思える。

思えば、25歳にして10代のメンバーに混じって連日のハードスケジュールと高難易度で運動量の多いダンスに付いていく道重の体は、まさに「限界」を迎えていたのだろう。卒業が発表されて以降の疲労や心労は、体重の減少や帯状疱疹の発症という形で道重の体を襲っていた。最後の最後で体が悲鳴をあげたが、道重さゆみ自身は悲鳴を上げる事なく、ステージを全うしようとした。それをフォローしつつ、動けない道重をおいてセンターステージで唄い踊る9人の姿は、道重が言う「頼もしくなった」姿をアリーナ中の、全国と東アジアのファンに見せつけた。

怒涛のノンストップメドレーを気合で乗り切った後は、インターバルを置いて一人だけスニーカーに履き替えた道重さゆみが、満身創痍の体を押して『One・Two・Three』『Password is 0』などの激しいフォーメーションダンスに挑んでいく。「もういい、もう休んでくれ!」見ていて思わずそう言いそうになったのは、筆者だけではあるまい。(大事な場面なのに一人だけ靴が違うという光景に、幼少期のエアロビクス発表会の逸話を思い出したのも、筆者だけではあるまい)
しかし、道重さゆみは動きこそ制限していたものの、最後まできっちり歌い、踊りきった。最後の曲『Be Alive』では、誰もが泣いていた。

道重さゆみの感謝「変な人達、サンキュー」

アンコールの前の卒業セレモニーを挟んで、道重さゆみからファンへの感謝のメッセージが語られた。読み上げた、のではなく、語られたのだ。モーニング娘。の卒業コンサートでは、卒業するメンバーが「手紙」という形式であらかじめ用意してきた挨拶原稿を読むのが通例だった。しかし、道重さゆみは、あくまでも自分の言葉で、8分以上にわたってファンに感謝の言葉を述べたのだった。

【コメント全文】道重さゆみ、「さゆみのファンの人たちが、ほかの誰でもない、みんなでよかった。」 | モーニング娘。’14 | BARKS音楽ニュース

このメッセージは、タモリの赤塚不二夫への弔辞、リンカーンの演説、そうしたものに匹敵する歴史的な名演説として長く記憶されるだろう。道重さゆみがモーニング娘。史に、アイドル史にまた伝説の1ページを刻んだと言える。

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2回目のアンコールで一人出てきた道重さゆみは、全身にピンクの花をあしらったゴージャスなドレス衣装で登場。
「すべてが始まった曲。この歌で、私はモーニング娘。になりました。聴いてください、『赤いフリージア』」
ここであの、ファンの間では伝説的な名場面として今でも「さゆーじあ」として語り継がれている、6期メンバーオーディションの課題曲を持ってくる演出に、会場からどよめきと歓喜の声が上がった。

あの頃とは比べ物にならない、安定したピッチと見事なアイドル歌唱で、道重さゆみは『赤いフリージア』は完全に自分のものとしていた。

3回目のアンコールで、最後の最後に歌われた曲は『HAPPY大作戦』。これも現在のモーニング娘。’14のチームワークを象徴するような、幸福感に満ち溢れた楽曲だ。

「時間は戻らない だから先へ行くんだ  両手いっぱい 夢を詰め込んで 」

この歌の歌詞通り、楽しい時間は早く過ぎ、輝かしい瞬間はあっという間に過去になる。

カーテンコールを終え、道重さゆみが「本当に心から、どうもありがとうございました!」という言葉を残して、モーニング娘。’14はステージを後にした。道重さゆみは、卒業した。
しかしすべてが終わって、客電が着いて終演アナウンスが流れる中も、さらなるアンコールを求める「さゆみ」コールが鳴り止むことはなかった。

終幕

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この日、OP映像の続きが初めて流れた。道重のもとに集まってきたメンバー達は、一人、また一人と、道重に手を振って笑顔で去っていく。最後に残された道重は、それまで手に持っていた本を閉じ、ソファの上においていなくなる。本の表紙がアップになると、そこに書かれていたのは、次の文字だった。

M。
4329 days
Sayumi Michishige

2014年11月26日、道重さゆみ、モーニング娘。’14卒業。

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(セットリスト)

1 TIKI BUN
2 わがまま 気のまま 愛のジョーク
3 What is LOVE?
(OP映像)
4 時空を超え 宇宙を超え
5 Do it!Now
6 明日を作るのは君
7 Fantasyが始まる
8 I WISH(updated)
<道重カメラ>
9 シャバダバ ドゥ~
10 笑顔は君の太陽さ
11 彼と一緒にお店がしたい!
<MC道重 ゲスト中澤矢島田中>

12 メドレー
シルバーの腕時計
Help me!!(updated)
恋愛レボリューション21(updated)
恋愛ハンター(updated)
ラララのピピピ
ABCDE‐cha E-cha したい
ワクテカTake a chance
ブレインストーミング
好きだな君が
この地球の平和を本気で願ってるんだよ!
青春コレクション(updated)
LOVEマシーン
Give me 愛
13 シャボン玉
14 One・Two・Three
15 Password is 0
16 Be Alive
<アンコール>
EN1 見返り美人
<卒業セレモニー>
EN2 赤いフリージア(道重ソロ)
EN3 歩いてる
EN4 Happy大作戦

(文=宮元 望太郎)


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“モーニング娘。’14道重さゆみ卒業コンサート速報レポート そして伝説へ…” への7件のフィードバック

  1. avatar kogonil より:

    道重さんは・・・こんなオヤジ(=私)の心にも「愛」があることを教えてくれました。

  2. avatar アライブ名無しさん14 より:

    すばらしい記事

    僕も現場でみていました
    あの場所でさゆを見送れたことを誇りに思っています
    今も興奮してますw

  3. avatar アライブ名無しさん より:

    良い意味でバカバカしい神格化のメッキを剥がして卒業した感じ
    やっぱりこの人は愛されるべきポンコツですよ

  4. avatar アライブ名無しさん より:

    確かに愛されるべきポンコツだけど「神格化」というのはアンチがやっかみで呼んだだけのこと
    ファンはそんな陳腐な言葉では語れないほど彼女に感謝しているはず

  5. avatar アライブ名無しさん より:

    あんだけ、私のファンってところを理解していたアイドルはいないだろう。
    不特定多数に向かって『みなさんありがとう。』と言って去ったアイドルは伍萬といたけど、
    私を見つけてくれた貴方といって、ファンを括ってきちんとお礼を言って去ったアイドルはいない。

    それこそ、道重を追い続けてきた人には感無量だったと思う。大森靖子じゃないけど、オバマか、道重かってくらいあの最後の挨拶はしびれた。晴れの舞台で足をつっちゃうポンコツってのはそれも持ってないあの人って感じ。

  6. avatar アライブ名無しさん より:

    道重さんが足を痛めてから、9人でのパフォーマンスのあと
    譜久村さんが道重さんが待つメインステージに走って行く場面
    まるで「道重さ~ん」って叫びながら駆け寄る
    そしてそれを歌いながら、わずかに笑みを浮かべ見つめる道重さん

    好きだな君がを2人で歌い、やがて残りの8人も戻ってくる

    オープニングとエンディングの映像を彷彿とさせる感じ
    まるで全部が演出の天才が考えたような流れ

    HAPPY大作戦でバトンタッチした譜久村聖を応援しないではいられない。

  7. avatar アライブ名無しさん より:

    モーニング娘。には多くの「伝説の…」と呼ばれるシーンがあります。その中の「伝説のパリ公演」「伝説の『大きな瞳』」「伝説の五人娘。」「伝説の寝起きどっきりコンサート」そして今回の「伝説の卒コンメドレー」このすべてに道重さんは確かにいました。彼女個人でも「伝説の『さゆーじあ』」「伝説の鉛筆投げつけ」「伝説のロンハー」「伝説の黄金伝説」「伝説のチュー」「伝説の卒コンメッセージ」etc.彼女の歩いてきた道は伝説になる。伝説とはその事象にふれた人が第三者に語られて形成されるものです。みんな『道重さゆみ』について語りたくてしょうがない存在だったのではないでしょうか。

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