「この透明な違和感は何だ?」 モーニング娘。’14『時空を超え 宇宙を超え』楽曲レビュー

モーニング娘。’14 『時空を超え 宇宙を超え』

2014年4月16日発売 56thシングル
作詞・作曲:つんく

モーニング娘。’14 56枚目のシングル(両A面)は、ストリングスの旋律とピアノの分散和音とから入る静かな入りが印象的な楽曲だ。思えばここ最近のいわゆるEDM路線は、アゲアゲで押していくアッパーチューンが主で、こうした落ち着いた趣の曲はなかった。

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それにしても、不思議な「手触り」を持った曲だ。人によっては「バラード」と呼んでしまうほどしっとりした曲ながら、ピアノやストリングスは細かくサンプリングされて電子的に加工され、ダブステップ風のシンセベースも挿入され、紛れも無くEDMの音作りではある。漂うアンビエントな雰囲気は、チルステップへの接近も予感させる音作りだ。

違和感と仕掛け、そしてメロディ

この楽曲には、そうした様々な違和感――ひっかかりといってもいい――が随所に挿入されている。綺麗なメロディとピアノで構成するなら、それこそ『Be Alive』のように最初から最後まで流れるような構成にすれば簡単なところを、ピアノもストリングスも加工に加工を重ねて切り貼りし、軽く聞き流せないようにしている。

tokisoraダンスにも、クラシックバレエ的な動きを取り入れつつ、サビ終わりでは16分で細かくリズムを刻んだりなど、一筋縄ではいかない違和感が随所に挿入されている。つんく♂は最近のインタビューで、振付師のYOSHIKOと毎日のように事務所で話し合っていると語っており、セルフライナーノーツで「かなり細かいリズムがふんだんに入っているので、決してどんくさいスローバラードでない」とも語っている。このダンスにも総合プロデューサーとしてのつんく♂の意向が色濃く反映されているであろうことは想像に難くない。

歌詞も、つんく♂独特の違和感を持った暗示的な詩が乗っている。同じくSPA!のインタビューで語った「楽曲も宴会ソングではない、もっとメッセージ性の強い曲にしていきたい」という発言を念頭に置くと、これが単に恋愛の歌でも単純な人生賛歌でも地球ラブでもないことが分かる。

しかしどんなアレンジにせよ、どんな仕掛けや違和感があるにせよ、この曲がまず我々の心を掴んで話さないのは、その掛け値なしに美しく透き通ったメロディラインのせいだろう。つんく♂を今でも稀代のプロデューサーたらしめているのは、その非凡なメロディセンスのせいである、と改めて実感した。

歌詞が予言するモーニング娘。の遠い未来

それでもこの歌詞については、さらなる深読みをせずにはいられない。「愛しくて 愛しくて 尊さを感じてる」と愛を歌ったかと思えば「私はまだね未完成」「この世で出会えると信じ君を待つ 」「恋に敗れて山河あり」など、破滅や離別を予期させるような不穏な雰囲気もある。

遠い未来はわかるのに 明日のことが決められない」とは道重さゆみ卒業の時期を予言するものか、はたまた「また次の世でも会えるかな 切ないよ 」とは、「モーニング娘。」という作品が未完成のまま病気療養で現場を離れねばならないことに対するつんく♂の悔恨と惜別の思いなのか。ネットではMMRキバヤシばりに、そんな様々な想像をする人もいるようだ。

しかし、一つだけ確かなことは、道重だけでなく、全てのメンバーはいずれモーニング娘。という星から去って行くということと、もうすぐオーディションにより新メンバーが入ってくることだろう。この10人で出すシングルは、いつ最後になってもおかしくない。全てのシングルは一期一会なのだ。

するとこの曲は、後世に『I WISH』や『雨の降らない星では愛せないだろう?』のような、「期」を代表する重要曲になるだろうか?おそらく、前2曲のように、卒業などのターニングポイントで使われる曲としては雰囲気が短調(マイナー)で寂しすぎるのでそういった使い方はされないだろう。(「カラフル期」の卒業ソングとしては『Be Alive』が選択される可能性が高いのではないか)

それでもこの曲が、10人で歌うモーニング娘。’14の重要曲として、後世に語り継がれることは間違いないだろう、と私は見ている。

モーニング娘。’14「時空を超え 宇宙を超え/Password is 0」リリース特設サイト

(文=宮元 望太郎)

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“「この透明な違和感は何だ?」 モーニング娘。’14『時空を超え 宇宙を超え』楽曲レビュー” への16件のフィードバック

  1. avatar アライブ名無しさん より:

    アライブモーニングは死んでなかったと安心しました。
    しかしいつまでこのデザイン…

  2. avatar アライブ名無しさん より:

    これで コラムは読みにくい

  3. avatar アライブ名無しさん より:

    アライブさん、この調子でお願いします

  4. avatar アライブ名無しさん より:

    読みにくいし早く戻してほしいな
    管理人の文章自体は好きなだけに今のデザインはただただ残念

  5. avatar アライブ名無しさん より:

    やっと戻った!

  6. avatar アライブ名無しさん より:

    やはりこっちの方が良いですよ。
    ぼちぼち更新お願いします。

  7. avatar アライブ名無しさん より:

    4/1ネタを引っ張っただけだろうにこの早漏野郎めが!

  8. avatar アライブ名無しさん より:

    12期発表は8月頃でしょうから、もう1~2枚はこのメンバで出すのではないかと。。。

  9. avatar アライブ名無しさん より:

    戻したのかよ!

    ありがとうございます

  10. avatar アライブ名無しさん より:

    8の人が突っ込んでいるようにこの10人では最後だろう
    というのは早漏に過ぎると思います。
    確か12期の正式デビューは来年でしょ?
    他にも未完成な状態ででつんくが去らなければいけないとか
    今回はいつになく感傷的な思い込みや先走りが過ぎるきらいがあると
    思いますがそれも楽曲から漂う気分のなせる技なのか

  11. avatar 宮元 忘太郎 より:

    (♪ピーンーチーかーらー、つーかーみーとーるー栄光)
    どーもー、宮元です。戻ってまいりました。
    ご無沙汰しております。叱咤激励、ご声援ありがとうございます。
    これからも最低でも週一くらいのペースで更新していきたいと思います。

    >>8
    言われてみればそうですね。訂正します。
    >>7
    遅漏の間違いでは?
    >>10
    早計の間違いでは?
    確かにちょっと感傷的というか別の人の意見に引っ張られすぎたきらいはあるのでちょっと表現変えました。

  12. avatar アライブ名無しさん より:

    >>11
    早漏は前の方が使っていたので便乗してみました。無論正しくは早計です。
    文句ばっか書いてしまいましたが、改訂によって
    より説得力が増したように思います。
    ありがとうございました。
    で、何故ピンチなのでしょう、本業がピンチ?

  13. avatar アライブ名無しさん より:

    こっちのがデザインいいっす
    かっこいいっす

  14. avatar アライブ名無しさん より:

    Amazonとセブンネットのランキングが絶好調

  15. avatar アライブ名無しさん より:

    アライブが生き返った!!!
    し、心配なんか全然してなかったんだからな

  16. avatar 宮元 忘太郎 より:

    ※15
    ありがとうございます。LOVE IS ALIVE!です!
    べ、別にあんたのために戻ってきたんじゃないんだからね!

    ※13
    ちょっとしたシャレだったんですが不評過ぎて笑いました

    ※12
    まあ本業がピンチといえばピンチですが、つんく♂登場仮歌「Help me!!」のイメージです。

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