今こそ『AKBINGO!』の成功を逆輸入して『ハロモニ。』を復活させてみよう

前のページ 1 2

スポンサーリンク

ハロプロにも漢方薬が必要

先日、電通の話題で紹介したこの画像で、電通の営業部の社員がこんな事を話している。(関連記事:「電通がモー娘。に寄生しようとしている!」とか怒ってる人はちょっとナイーブすぎないか?

藤田(電通 営業部):『AKBINGO!』 という番組はもう一年半やってますけど、秋元さんはよく僕らに言ってたんです、「『AKBINGO!』は漢方薬であって、毎日飲んでいると聞いてくるものだし、大きな効果を得ることができるはずだ」と。例えば、お金をかけて良い時間帯に単発の番組を無理やり作ったとしても、そのやり方は抗生物質であり、その一瞬しか効き目がないんですね。だから「お前ら、耐えろ!」と。「これは絶対に聞くはずだ!」と。

そこから一年半、丁寧に番組を日本テレビさんと作っていった結果、放送の時間帯もあがって、中高大の人達が観てくれるようになったんです。『AKBINGO!』によって圧倒的にAKBの認知率が上がり、視聴率もコンスタントに3%台を獲り続けるようになった。そのタイミングがたまたま『大声ダイヤモンド』だったという感じじゃないですかね。

「漢方薬」というのは陳腐な例えだが確かにその通りで、そういうレギュラー番組の効果はじわじわと出てくるものだろう。ちなみに誤解のないように断っておくと、筆者はAKBファンでもないし、この『AKBINGO!』という番組を見たことはない。それでもこれはいい着眼点だと思うし、太巻こと秋元康はヒットの仕掛けを創りだす手腕は確かにもっているな、と感じた。人気が出たタレントを使ってテレビ番組を作るのではなく、テレビ番組を作って人気者を創りだす、というのはまさに仕掛け人の発想だ。
AKBプロジェクトを始める前に、太巻はモーニング娘。とハロプロの成功と失敗を徹底的に研究したそうだ。その調査対象にはもちろん、『ハロモニ』も含まれていたことだろう。つまり、AKBの成功の影には、ハロプロの成功と失敗がある。ならばAKB人気に陰りの見え始めた今こそ、『AKBINGO!』の成功を逆輸入して、『ハロモニ』を復活させるときなのではないか。

モーニング娘。を筆頭として、ハロプロは今まさに世間の注目を再度集めつつある。ブレーク「した」とまでは言わないが、その気配が「キテる」のは確かだ。

こういう、「ちょっと気になりだした」人が多い時期に、全国ネットで冠番組をふたたび持てれば、それは再ブレイクへの一里塚となりそうな予感はある。やはり最初は楽曲なり容姿なりで好きになるものだが、その先のキャラクターや人柄、エピソードまで知ってもらえれば、「ちょっと好き」ではなく「ファン」になりうる。そのためには、『ハロモニ』のようなTV番組を持つことが一番効果的だろう。

もちろん、今はテレビ万能の時代ではない。『ハロモニ』の頃と今とで一番違うのは、ネット動画の普及だ。

現在は、テレビがなくても、Youtubeの公式動画で『ハロ!ステ』があり、DVDマガジンがある。あ、あとテレビでは『SATOYAMA』があった。

しかしどれもファンなら楽しめるが、かなり能動的に自分からアクセスする必要がある。また、作り手にも受け手にも「これはファン向けの動画だから」という、ある種の油断があるし、制作費も制作時間もかなり絞られている。やはり、テレビでちゃんとしたアイドルバラエティをやってほしい。今のハロプロメンバーがスタジオでゲームに挑戦したり、罰ゲームに悲鳴を上げたりするさまを見てみたい。焼きそばを自慢されて悔し泣きするまーちゃんを見てみたいではないか。

もちろん、冠番組があればいいというものではない。現に『ハロモニ』という漢方薬は途中で効き目を失った。なぜかと言えば、単純に番組としての面白さが確保できず、視聴率が1%台にまで 低下して打ち切りになったというのが単純な事実。つまり惰性で飲み続けさえすればそれでいいってものでもなく、ちゃんと資本を投下して、優秀な番組作りのスタッフを揃 えて、「ファンでなくてもたまたまチャンネルを合わせてみたら結構楽しめちゃう」くらいまでに番組の質を高める必要はある。

まあ実際、有能な広告代理店の人なら、歌番組露出の次の一手として冠バラエティ番組の復活くらいはすでに検討していてもおかしくはない。『ハロモニ』の復活、意外とありうるのではないかと密かに期待している。

余談1:『ハロモニ』は『テキストサイト』的、『SATOYAMA』はTwitter的

以下は完全な余談だが、この構図、何かに似ているな、と考えている内に、筆者が主張する「モーヲタテキサイの復興」のテーマとも重なるのではないか、と気づいた。

「モーヲタテキサイの復興」とは、筆者が個人的に提唱し、このサイトで実践している運動である。

これはつんく♂が以前、ナタリーのインタビューで語っていた
「ネットが普及したことでいろんなことが短縮化、簡易化されて、物事を書くということがおざなりになってるのかなっていう危機感を感じてる」
という言葉に触発され、Twitterでのつぶやきや狼の3行書き込みで思考や文章を小出しにして消費せず、ちゃんと考えを練って、それなりの論考をテキストサイトにあげようではないか!という運動である。(関連記事:つんく♂からTwitter時代への警鐘「ネットが普及したことでいろんなことが短縮化、簡易化されて、物事を書くということがおざなりになっている」

つまり、バラエティ企画を練って作りこまれていた『ハロモニ』はかつてのネット状況に喩えるなら「テキストサイト」であり、畑仕事やDIYなど日常のことをつぶやいている『SATOYAMA』はTwitterのような感じなのではないか、と。DVDマガジンはブログくらいの位置づけかな。

余談2:ハロモニの思い出

コントは初期の『バスが来るまで』が面白かった記憶。

(文=宮元 望太郎)

前のページ 1 2

スポンサーリンク

コメントを残す